日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.49,No.10 (2021)

表題:
微生物を利用した有用物質生産
[2]海洋細菌を用いたバイオリファイナリー
著者:
田中礼士(三重大学大学院生物資源学研究科,三重大学海藻バイオリファイナリー研究センター)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.49,No.10,pp.527−532(2021)

バイオリファイナリーは「再生可能資源であるバイオマスを原料にバイオ燃料や樹脂などを製造するプラントや技術のこと」であるが,注目されているのが大型海藻を用いたバイオリファイナリーである。大型海藻は多糖類を多く含み,その組成が比較的シンプルである。幸い,我が国は世界屈指の排他的経済水域を保有し,そのほとんどの海域で栄養塩が豊かであるため,これら非可食性の大型海藻を養殖することにより,運搬費やエネルギーロスを少なくして次世代化成品を生産するメリットがある。そこで本稿では,著者がこれまでに構築した非可食性の海藻類から機能性に富んだ物質を取り出す手法について,おもに緑藻,褐藻を用いた場合について解説する。中でも新規性の高いDEHと呼ばれる褐藻由来のアルギン酸単糖およびウルバンと呼ばれる緑藻由来の硫酸化多糖類について詳しく解説し,最後に三重大学海藻バイオリファナリー研究センターの活動について報告する。

Key words:
Biorefinery/Alginate/Ulvan/DEH/KDG/Seaweed degrading bacteria.