日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.49,No.3 (2021)

表題:
食品・医療・環境分野での感染制御
[5]住環境とアレルギー問題
著者:
鎌田洋一(千里金蘭大学生活科学部)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.49,No.3,pp.115−122(2021)

アレルギーは,生後離乳食の摂取による食物アレルギーから始まり,室内大気を呼吸する際に取り込む空中アレルゲンが原因のアレルギー疾患が次に続く。アレルゲンを含むハウスダスト(室内塵)が室内空間に放散し,呼吸によってアレルゲンが取り込まれる。湿度の高い日本の気候では,ダニとカビは永続するアレルゲンソースとなる。室内飼育が通例となったペットもアレルギーを引き起こす。意外なのが室内昆虫で,ゴミとしての固形物以外に,多量のダニの死骸・糞・カビがペットのフケと一緒にハウスダスト中に混入する。外気から混入する花粉も室内大気中に分布するが,住環境アレルゲンとしては,花粉は注目度は低い。小児喘息,アレルギー性鼻炎,アレルギー性結膜炎,Aspergillus属のカビが原因の肺炎,アトピー性皮膚炎,成人喘息等,病態を変化させながら発症を続けるアレルギー疾患に留意する必要がある。その制御は対症療法とアレルゲンの忌避以外にない。

Key words:
Indoor environment(住環境)/Allergy(アレルギー)/Airborne allergen(空中アレルゲン)/House dust(室内塵・ハウスダスト)/Mite(ダニ)/Fungi(真菌)/Worm(昆虫)/Pet(ペット)/Allergy march(アレルギーマーチ).