日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.45,No.12 (2017)

表題:
次亜塩素酸水のpHおよび有効塩素濃度が及ぼす殺菌効果と腐食性への影響(原著論文)
著者:
千草 尚,大川 猛,横田昌広,二階堂勝((株)東芝),松村有里子,岩澤篤郎(東京医療保健大学大学院医療保健学研究科)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.45,No.12,pp.585−593(2017)

希塩酸または塩化ナトリウム水溶液を電気分解して得られる電解水は,食品衛生や農業分野など多岐にわたる分野で使用されている。機能水の中でも,食品添加物の殺菌料として認可された次亜塩素酸水の化学的性質は生成装置の構成に依存し,殺菌効果や金属の腐食に影響を与えることが知られている。本論文では,2隔壁3室型電解水生成装置より生成した次亜塩素酸水を用い,pHや有効塩素濃度の殺菌・腐食性に及ぼす影響について検討した。その結果,有効塩素濃度が10,50mg/kgの時,本研究で使用した細菌は,Aspergillus brasiliensisおよびA. flavusを除き,酸性の領域の電解水の方がアルカリ性領域のよりも殺菌効果が高かった。また,pH 6の電解水で芽胞を殺菌する時間は有効塩素濃度が高いほど短縮された。腐食性は,酸性領域ではアルミニウム,銅,鉄に対して高かった。一方,ステンレス(SUS304および316)では腐食は見られなかった。電解水の酸化還元電位を電位-pHダイアグラム上にプロットすることで,金属の腐食性能を予測可能であることが示唆された。

Key words:
Electrolyzed water(電解水)/Hypochlorous acid water(次亜塩素酸水)/Bactericidal effect(殺菌効果)/Corrosiveness(腐食性).