日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.45,No.2 (2017)

表題:
食品調理現場に於けるバイオフィルムの衛生課題と新しい衛生管理方法(原著論文)
著者:
松尾 登,吉川清章,小西祥博(花王(株) ハウスホールド研究所),勝亦雄太,島村裕子(筑波大学大学院生命環境科学研究科),豊福雅典,野村暢彦(筑波大学生命環境系),稲葉知大(筑波大学大学院生命環境科学研究科,産業技術総合研究所 環境管理研究部門)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.45,No.2,pp.65−72(2017)

食品調理現場で使用されるまな板において,細菌汚染状態を詳しく調べた。その結果,菌数低下効果が全く得られずにバイオフィルム(BF)化したケースが認められた。食中毒菌がこのBF中に混在した場合,生残性が高まり食中毒リスクの増大に繋がるため,BF化しないよう衛生度を維持することが重要である。BF化する要因の一つとして,まな板に入っている無数のキズが挙げられる。このキズの影響で,通常の洗浄では殺菌剤の効果が殆ど得られず,BF化すると考えられた。これに対して,安全・安心素材である塩基性ポリペプチドをリーブオンする新しいオペレーションを見出した。抗菌成分が保持されるため,調理工程で食材と共に持込まれる細菌にまで抗菌効果を発現する。さらに,すすぎ不要による工程簡素化も可能で,新しい洗浄・殺菌オペレーションとして期待できる。

Key words:
Biofilm(バイオフィルム)/Disinfection(殺菌)/Basic polypeptide(塩基性ポリペプチド)/Leave-on application(リーブオン)/Cutting board(まな板).