日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.44,No.4 (2016)

表題:
活性酸素・フリーラジカルを応用した殺菌技術
著者:
中村圭祐(東北大学大学院歯学研究科 生体適合性計測工学講座)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.44,No.4,pp.191−197(2016)

活性酸素とは高い反応性を有する酸素由来の化学物質の総称であり,フリーラジカルとは不対電子を有する分子の総称である。一般的に,活性酸素・フリーラジカルは,他の分子から電子を奪う作用,すなわち酸化作用が強い。この酸化作用を応用することで殺菌を行うことが可能であり,新しい殺菌法として生体への応用が研究されている。しかしながら,活性酸素・フリーラジカルを応用した殺菌法では細菌だけを殺菌する選択性はなく,過剰な処置では対象部位周辺の健常組織が酸化傷害を受けることとなる。そこで,対象部位を限局して活性酸素・フリーラジカルを生成し,局所でのみ強い殺菌力を得る方法が研究されている。本稿では,著者らが研究を行ってきた活性酸素・フリーラジカルを応用した殺菌技術を紹介する。特に光増感反応によって生成される一重項酸素および過酸化水素の光分解反応で生成されるヒドロキシルラジカルの殺菌活性ついて解説する。

Key words:
Reactive oxygen species(活性酸素)/Free radicals(フリーラジカル)/Disinfection(殺菌消毒).