日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.42,No.4 (2014)

表題:
産業へのオゾンの利用技術[10] 海水のオゾン処理
著者:
石田稔郎(三菱電機(株)神戸製作所)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.42,No.4,pp.207-212(2014)

栽培漁業・水族館の飼育海水に対し消毒や透明度の向上を目的としてオゾン処理する例が増えている。また海水を用いた冷却水配管や熱交換器への海水系生物の付着を防止する方法としてオゾンの適用が検討されている。しかし海水のオゾン処理は,オゾンが海水中に微量含まれている臭素イオンと反応し,残留性のある次亜臭素酸や臭素酸などのオキシダントを少量生成する。オキシダントは,アンモニア態窒素の分解効果や消毒効果があるが,魚類等に対し毒性があるので,適用にあたっては活性炭によるオキシダントの処理技術を有効に組み合わせるなど注意が必要である。ここでは海水へのオゾン利用の基礎として,オゾンと海水の反応,反応生成物であるオキシダントの性質,およびその除去技術について概説する。さらに,養魚用海水への適用効果や水族館の飼育海水の水質改善効果,発電プラント冷却水系への高濃度オゾン注入による生物付着防止効果を紹介する。

Key words:
オゾン処理/海水/オキシダント/臭素酸/高濃度オゾン.