水は食品の製造(原材料の生産から商品の製造)に欠くことのできないもので,食品の製造に用いられる水は,使用工程によって原料用水,製品処理水,洗浄用水,冷却用水などに分類されるが,どの用途の場合でも衛生的で安全な水であることが必須となる。食品の製造などに使用する水については,「飲用適の水」(食品製造用水)としての水の規格があり,食品衛生法では飲用適の水(食品製造用水)の定義,基準,検査頻度などが規定されている。清涼飲料水は食品,添加物等の規格基準 第1食品 D各条において分類され,成分規格(一般規格,個別規格)と製造基準(一般基準,個別基準)が規定されている。また近年の新しい汚染物質として有機フッ素化合物であるPFASがある。PFASは自然界で分解され難く,環境中に蓄積され易く,また風や水などに乗って長距離を移動するという性質があるため,汚染の問題が深刻化している物質の1つである。本講座では,食品の製造に使用する水の法的な基準,清涼飲料水の基準および新たに懸念される汚染物質(PFAS)について説明する。