本研究では,連続フロー式誘電泳動システム(CFDS)と定量PCR(qPCR)を組み合わせて,レジオネラ属菌(以下,レジオネラ)の生菌のみを分離し,定量する方法を検討した。CFDSとは,誘電泳動原理による電気計測およびマイクロ流体制御の複合技術である微粒子ろ過システムである。CFDSによるレジオネラの生菌と死菌の分離状態をCCDカメラで確認したところ,3.0 MHzから6.0 MHzの周波数領域で生菌の捕捉が顕著に観察された。そこで,22.0 Vpp,6.0 MHzにおけるレジオネラの捕捉率と,捕捉したレジオネラをqPCR法で測定した際の1 CFUあたりの16S rRNA遺伝子のコピー数を求め,得られた数値から本法におけるレジオネラの菌数を求めるための換算式を立てた。そして,9通りの濃度に調製した試料に対して本法と培養法による測定値を比較したところ,高い相関が認められた。