日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.52,No.3 (2024)

表題:
ヒト常在菌叢と健康・疾患に関する研究の最前線
[5]敏感肌と皮膚常在菌叢
著者:
柴垣奈佳子((株)資生堂 みらい開発研究所)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.52,No.3,pp.117−120(2024)

敏感肌とは,通常の肌では感じられないような刺激に対して,様々な感覚刺激のある肌であるとされている。様々な種類の敏感肌があると考えられるが,本報告では,ごく低濃度の乳酸による刺激を感じられる顔の皮膚を敏感肌としてとりあげ,そのような肌では,水分量などの生理指標については非敏感肌と違いがみられない一方で,皮膚常在細菌叢については,非敏感肌と異なる特徴がみられることを見出した。敏感肌の常在菌叢の方が,多様性が低く,アクネ菌の優占度が顕著に高い。そして敏感肌では,皮脂分泌量が低くてもアクネ菌の割合が高いという特徴がみられた。このことから,少なくても乳酸刺激への感度で選抜される敏感肌には,皮膚常在菌叢が関与していることが示唆された。

Key words:
Sensitive skin/Skin microbiome/Cutibacterium/Staphylococcus.