日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.52,No.3 (2024)

表題:
家庭の安全・安心科学
-家庭における微生物汚染とその対策-
[10]カット野菜製造時の微生物汚染とその対策
著者:
西村園子(ライオンハイジーン(株))
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.52,No.3,pp.109−115(2024)

今後,高齢者世帯や高齢の単身世帯,共働き世帯が増加し,省力化や時短を叶えるカット野菜の利用は広がると予想される。カット野菜では,微生物に対する耐性が低下し,微生物が増加しやすくなるため,洗浄・殺菌による細菌数低減は,衛生的な製品を製造する上で欠かすことができない。本講座では,カット野菜製造の各工程における課題とその対策について紹介する。製造工場で特にポイントとなるのは,ホール殺菌工程や異物・虫除去工程,本殺菌工程である。ホール殺菌や異物・虫の除去の工程では,殺菌剤と野菜洗浄剤の併用で,殺菌効果や虫除去効果の向上が期待できる。スライス後の,本殺菌工程には次亜塩素酸ナトリウムが利用されているが,殺菌処理後に品質劣化が見られることが報告されている。マイクロバブルオゾン水を用いた殺菌方法を開発し,本工程に応用することにより,殺菌効果の維持と低損傷洗浄の両立が可能となった。

Key words:
カット野菜/マイクロバブルオゾン水/細胞損傷/品質/殺菌.