日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.52,No.2 (2024)

表題:
家庭の安全・安心科学
-家庭における微生物汚染とその対策-
[8]家族が風邪をひいた!安全な対策と方法は
著者:
小林寅喆(東邦大学看護学部感染制御学)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.52,No.2,pp.57−59(2024)

風邪とは,一般に鼻腔から咽頭までの上気道における急性炎症であり,風邪症候群とよばれる疾患で,年齢を問わず健常な人も多く罹患する。風邪症候群の原因微生物のほとんどがウイルスであり,ライノウイルス,コロナウイルスなど各種ウイルスによる感染症である。これらのウイルスの中には,同一種のウイルスでも多くの型が存在するため,何度も繰り返し罹患する場合も少なくない。風邪症候群に罹患している人などからの咳やくしゃみ,会話から排出される飛沫を介して感染する。また,排出された飛沫が環境の高頻度接触面に付着して,飛沫中に含まれる病原体による接触感染も注意すべき感染経路である。すなわち風邪症候群の予防は主な感染経路である飛沫感染経路および接触感染経路の遮断である。家族の誰かが風邪をひいた時は,可能な限り罹患者との接点を最小限にすることである。また,適切な換気も重要な対策である。家庭内では重症化することもある高齢者や妊婦への対策は特に注意が必要である。

Key words:
風邪症候群/ウイルス感染症/飛沫感染/接触感染.