日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.51,No.12 (2023)

表題:
天然物とその利用−抗菌および抗真菌活性に関して−
[2]天然物由来の揮発性抗菌成分とそれらを活用した抗菌包材について
著者:
杉山祐樹,中嶋菜穂,坂入幸司,大日方野枝 (TOPPANホールディングス(株))
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.51,No.12,pp.719−724(2023)

食品ロスが世界的な課題となっており,その原因の一つとして微生物による汚染が挙げられる。微生物汚染を防ぐためには製造工程の適切な管理や包装形態の工夫が有効であるが,消費者の健康志向や食味向上の要望が高まっており,減塩食品や加熱処理を穏やかに行うことを要求される場面が増加している。こういった環境は微生物の残存や増殖を招きやすいため,保存料などの食品添加物を使用することで対応してきた。ところが,食品添加物に対する消費者の不信感は根強く,安全性への懸念を持つ消費者は多い。そこで,消費者へ受け入れられやすい物質として天然物由来の抗菌成分が注目されている。当社では,このような背景から天然物由来の揮発性抗菌成分を活用した抗菌包材の開発に取り組んできた。天然物由来の揮発性抗菌成分15種類を評価し,抗菌効果の高かった成分を使用して抗菌包材を作製したところ,カビや細菌の生育を抑制できることが分かった。

Key words:
Food waste(食品ロス)/Microorganism(微生物)/Natural product(天然物)/Essential oil(精油)/Package(包装).