日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.51,No.7 (2023)

表題:
金属銅の抗菌・抗ウイルス性能と実用例
著者:
笹原武志(北里環境科学センター研究開発部・北里大学医学部),小澤 隆(一般社団法人日本銅センター広報部兼技術開発部)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.51,No.7(記念号),pp.433−445(2023)

遷移金属元素である銅及びその合金はさまざまな病原微生物に対して微量金属作用により活性酸素分子種を生成し抗菌・抗ウイルス性能を発揮する。これらの優れた抗菌・抗ウイルス性能は米国環境保護庁(EPA)より金属材料では初めてとなる「公衆衛生における抗菌特性」として認められている。驚くことに,造幣年代の古い十円硬貨や人工的酸化処理銅材や大気暴露銅材はこれらの特性がより強く発揮される傾向がある。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)汚染が高頻度に確認される医療環境に銅及び銅合金を導入すると当該菌感染者数と分離株数はかなり減少する。院内感染予防対策には感染源や感染経路となる院内環境汚染の低減化が不可欠であるが,日々の定期的な清拭・清掃で環境汚染菌を適宜除菌するには限界がある。銅及び銅合金製品が環境整備の衛生補完材として活用され,安寧な医療環境の提供に役立つことがますます期待される。

Key words:
Copper and its alloys(銅及び銅合金)/Dynamicaction of minute quantity(微量金属作用)/Reactive oxygen species(活性酸素分子種)/Antibacterial and antiviral properties(抗菌・抗ウイルス性)/Sustainable hygiene complementary materials(衛生補完材).