日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.51,No.7 (2023)

表題:
細菌の生態と特徴
著者:
桑名利津子,高松宏治(摂南大学薬学部)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.51,No.7(記念号),pp.369−387(2023)

細菌は肉眼で観察できないほど小さな単細胞生物である。アントニー・レーヴェンフックが自作の顕微鏡で微生物を観察したのが約350年前。そして,ロバート・コッホが1876年に炭疽菌を発見してからわずか150年で細菌学は大きな発展を遂げた。顕微鏡観察技術と培養技術を基盤として,生体分子の解析技術,遺伝情報の解析技術,医療や食品生産などの産業への応用技術が創出された。特に近年のゲノム解析技術は,培養に依存することなく膨大な細菌種の存在が明らかにした。その結果,細菌界全体の系統分類の見直しにつながり,2021年に門レベルの再編が行われた。また,腸内細菌叢がヒトの健康と密接に関わることや,生態系における細菌の多様性も明らかにされつつある。本稿では,1.細菌の生態と発生系統,2.細菌の特徴と形態,3.細菌の培養と増殖,4.ヒトの健康や環境と関わる細菌,5.細菌に関する最新のトピックスについて取り上げる。

Key words:
Phylogenetic classification(系統分類)/Evolution(進化)/Cell morphology(細胞形態)/Microscopy(顕微鏡観察)/Metagenome(メタゲノム).