日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.51,No.4 (2023)

表題:
拭き取り洗浄によるステンレス鋼表面からの植物油の除去における動摩擦力と界面活性剤の役割(原著論文)
著者:
渡邉大貴,辻本 彩,福﨑智司(三重大学大学院生物資源学研究科),林 沙英,落合 徹,新井田康朗(クラレクラフレックス(株)),髙橋和宏(岡山県工業技術センター)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.51,No.4,pp.147−153(2023)

本研究では,レーヨン不織布を用いた拭き取り洗浄によるステンレス鋼平板上の植物油(以下、油と略記)の除去について,異なる荷重下で吸水量の関数として検討した。不織布への純水の吸水量と荷重を高めると,動摩擦力(Fk)は増加し,拭き取り洗浄後の油の除去率は減少した。残存率は,ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を用いて油と水の界面張力(γow)を低下させることで著しく減少した。不織布による油の保持力は,SLS水溶液の吸水量の増加によって改善された。種々の拭き取り条件下において,拭き取り終点の平板(D)の油の残存量は,油塗布平板(C)の残存量よりも多く,全残存量(平板C+D)に対する平板Dの残存量の割合は70~78%の範囲にあった。不織布内に拭き取られた油は,拭き取り動作の方向に対して不織布の前方部に存在していた。0.3% SLS吸水不織布で横方向に拭き取り洗浄した後の平板Dの残存油は,2回目の垂直方向の乾拭きによって,隣の平板への油の移動を伴うことなく効率的に除去された。以上の結果は,FkとSLSの界面活性の相乗作用がステンレス鋼平板からの油の除去と不織布内での安定保持に重要な役割を果たしたことを示すものである。

Key words:
Wipe cleaning(拭き取り洗浄)/Nonwoven fabric(不織布)/Vegetable oil(植物油)/Kinetic friction force(動摩擦力)/Surfactant(界面活性剤).