日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.51,No.2 (2023)

表題:
オゾン水によるSARS-CoV-2不活化のCT値による評価とその不活化機構の新展開
著者:
中室克彦(摂南大学名誉教授)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.51,No.2,pp.71−79(2023)

オゾン水によるSARS-CoV-2不活化作用をより定量的なCT値で評価するためにウイルス懸濁液を遠心分離,透析,限外ろ過で精製し,増殖培地成分をターンオーバーさせないだけではなく,ウイルス懸濁液/オゾン水(1/102−3)の容量比を最小化した不活化試験と同じ条件下で得られた溶存オゾンの減衰曲線により補正した時間加重平均C′T値を得るべきである。また,SARS-CoV-2とインフルエンザA型ウイルスの感染機序に着目し,不活化作用におけるオゾンの標的分子の重要性に関して考察を加えた結果以下の結論を得た。従来から知られたオゾン水によるウイルスの不活化には,オゾンと反応性の高いアミノ酸や脂肪酸などのオゾン酸化による構造的破壊が寄与することが考えられた。さらに,SARS-CoV-2およびインフルエンザA型ウイルスのスパイクタンパク質に存在するチロシン,グリシン,スレオニン,セリンなどへのオゾンの酸化的攻撃がこれらウイルスの感染阻害および不活化に寄与する可能性を示した。

Key words:
Ozonated water(オゾン水)/SARS-CoV-2(コロナウイルス)/Inactivation(不活化)/CT value(CT値)/Target site(標的部位)/Biomolecules(生体構成分子). 講座内容大意