日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.51,No.1 (2023)

表題:
室内塵中の皮膚糸状菌や好ケラチンカビと水虫症状(原著論文)
著者:
浜田信夫(大阪市立自然史博物館),御厨真幸,永目知広((株)ダスキン・開発研究所),馬場 孝,阿部仁一郎((地独)大阪健康安全基盤研究所・天王寺センター)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.51,No.1,pp.3−12(2023)

一般住宅の室内塵中のカビ汚染について,夏と冬に好乾性カビや一般カビが検出できるDG18培地と,皮膚糸状菌を含む好ケラチンカビが検出できるマイコセル(MYC)培地を用いて調査した。MYC培地で検出されたカビ数は,DG18培地でのカビ数の約1/10で,皮膚糸状菌以外に6属の好ケラチンカビが検出され,とりわけ,ChrysosporiumScopulariopsisが多かった。好ケラチンカビは日和見皮膚感染症の原因菌と考えられる。室内塵のカビの季節変化を見ると,一般カビとは反対に,皮膚糸状菌や好ケラチンカビは,冬に増加する傾向があった。水虫の患者宅では,非患者宅に比較して,皮膚糸状菌が有意に多く検出されたが,患者宅の室内塵の約22%で検出されただけだった。理由として,床に脱落した皮膚糸状菌の優占種の1つのTrichophyton rubrumは乾燥で死滅しやすいためと思われる。水虫患者が通院することは少ないが,治療すると,室内塵からの皮膚糸状菌の検出率が,未治療の場合の約1/4に減少することもわかった。

Key words:
Dermatophytes(皮膚糸状菌)/Fungal contamination(カビ汚染)/House dust(室内塵)/Keratinophilic fungi(好ケラチンカビ)/Ringworm(水虫症状).