日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.50,No.11 (2022)

表題:
第48回年次大会(特別講演・教育講演・基礎講座)講座
[5]病原性ウイルスの効果的な制御方法を求めて
著者:
岩澤篤郎(東京医療保健大学大学院 医療保健学研究科)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.50,No.11,pp.469−474(2022)

ウイルス制御を検討するうえで,使用するウイルスは,DNAウイルスかRNAウイルスかより,エンベロープを有するかノンエンベロープウイルスかを明確に区別すべきである。ノンエンベロープウイルスは一般細菌・真菌より消毒薬に対する抵抗性が高いからである。我々は,主にノンエンベロープウイルスであるエンテロウイルスとアデノウイルスを中心に様々な抗ウイルス剤を検討してきた。次亜塩素酸水は,pH3前後で低濃度の有効塩素濃度で即効的な効果が高いことを明確にした。アルコール製剤では,アデノウイルス8型で抵抗性を示し,その使用において石鹸流水の併用が推奨された。現在,SARS-CoV-2によるパンデミックによって様々な商品が市販されている。今後は,生体に対して毒性がなく,環境に対する負荷が少ない殺菌・消毒薬の開発と,殺菌機序の解明を含めた総合的な評価をしたうえで,殺菌・消毒薬の適切な使用方法を提示すべきであろう。

Key words:
病原性ウイルス/次亜塩素酸水/アルコール製剤.