日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.50,No.8 (2022)

表題:
Biocontrol Science Vol.27 No.1 和文解説
ケミカルゲノミクスから浮かび上がったエラグ酸とタクロリムスの併用効果 ~カルシニューリンを釣り針とした真菌治療法探索~
著者:
萩原加奈子(兵庫医科大学薬学部 医療薬学科 衛生科学研究室,近畿大学薬学部 創薬科学科 分子医療・ゲノム創薬学研究室),前田拓也(兵庫医科大学薬学部 医療薬学科 衛生科学研究室),高崎輝恒,佐藤亮介,杉浦麗子(近畿大学薬学部 創薬科学科 分子医療・ゲノム創薬学研究室)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.50,No.8,pp.349−350(2022)

真菌による室内環境への外観的影響や文化財への微生物汚染,ヒトへの健康影響は,大きな懸念材料となっている。真菌は,ヒトと同じ真核生物であることから,新たな標的を持つ抗真菌薬の開発は難航している。カルシニューリンは進化的に保存されたタンパク質脱リン酸化酵素であり,真菌において病原性や薬剤抵抗性に関わることが報告されている。今回筆者らは,分裂酵母化学遺伝学(ケミカルジェネティクス)の手法を用い,カルシニューリンと関与する細胞内情報伝達を標的とした抗真菌候補化合物の探索を行った。その結果,エラグ酸がカルシニューリン阻害剤との併用により真菌に対する増殖阻害の有効性向上をもたらすことを明らかにしたので報告する。

Key words:
ケミカルジェネティクス/カルシニューリン/抗真菌薬.