日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.50,No.6 (2022)

表題:
Listeria monocytogenesの検出・検査法と衛生管理
著者:
下島優香子(相模女子大学)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.50,No.6,pp.233−240(2022)

Listeria monocytogenesはリステリア症の原因菌で,主に汚染食品等の喫食により感染し,重症化すると致死率が15~20%に及ぶ。欧米では食品媒介集団事例が多発しており,国内でも年間200症例程度の発生が推定される。本菌は低温増殖能があり,低温保存して喫食直前に加熱工程がない食品(ready-to-eat食品)が問題となる。わが国では,ナチュラルチーズ(ソフトおよびセミハード)と非加熱食肉製品に100 CFU以下/gの成分規格があり,国際的な標準試験法であるISO法に準じた試験法が公定法となっている。しかしその方法は手間や時間を要し,食品の安全を確保するためには目的に応じて第三者認証機関により妥当性が確認された代替試験法の導入が望ましい。L. monocytogenesの衛生管理については,コーデックス,USDA/FSIS,FDA等からガイドラインが出ており,その中で食品製造施設における環境モニタリングプログラム(EMP)が推奨されている。EMPはHACCPシステムにおいても重要な意義がある。

Key words:
Listeria monocytogenes(リステリア・モノサイトゲネス)/Ready-to-eat food(RTE食品)/Third-party certification(第三者認証)/Environmental monitoring program(環境モニタリングプログラム)/HACCP(ハサップ).