日本防菌防黴学会

学会のご案内

関連情報

  • English

日本防菌防黴学会誌

Vol.50,No.5 (2022)

表題:
食の安全・安心科学−食品製造現場・食品にかかわる微生物汚染とその対策− [14]光触媒を利用した微生物制御と食品衛生分野への応用
著者:
森田 洋(北九州市立大学 国際環境工学部 環境生命工学科)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.50,No.5,pp.205−211(2022)

光触媒は,光の照射により触媒反応を示す物質の総称であり,強力な酸化還元能力により有機物を分解することから,環境・衛生分野などへの利用が進んでいる。代表的な光触媒活性物質として酸化チタンが知られているが,近年は窒素や炭素,硫黄などをドープすることにより可視光領域においても効果を発揮することのできる可視光応答型光触媒の開発が進んでいる。そこで本稿では,筆者が研究を進めてきた硫黄カチオンをドープした酸化チタン(S-TiO2)の黄色ブドウ球菌や大腸菌,レジオネラ菌に対する殺菌効果について概説をし,高速フレーム低温溶射法やスプレーコーティング法による光触媒の固定化やアルギン酸ゲルに光触媒を包括固定化する手法などを紹介しながら,室内環境(公衆トイレ)や種子殺菌(カイワレダイコン種子)への応用研究例について解説を行った。

Key words:
Photocatalyst(光触媒)/S-doped titanium dioxide(S-TiO2)/Thermal spraying(溶射)/Spray coating(スプレーコーティング)/Indoor environment(室内環境)/Public lavatory(公衆トイレ)/Seed disinfection(種子消毒)/Bacteria(細菌).