日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.50,No.4 (2022)

表題:
低照度UV-Cによる静菌効果
著者:
内藤敬祐(ウシオ電機(株))
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.50,No.4,pp.141−145(2022)

紫外線による微生物の不活化には,低圧水銀灯から放射される254 nmの紫外線が広く使われてきたが,人体に照射すると皮膚ガンや白内障を引き起こす可能性があるため,有人環境での使用は避けられている。最近になって,200-230 nmの波長帯は人体への影響が少ないことが見いだされ,特に波長222 nmの紫外線は,微生物に対して高い不活化効果を示すが,生体に対する安全性が極めて高いことが複数の医療機関や大学で確認されている。その結果,各国で参照されているアメリカ産業衛生専門家会議にて紫外線の人体への許容曝露量の見直しが行われ,2022年版で波長222 nmの許容曝露量は22 mJ/cm2から158 mJ/cm2へと緩和された。微生物への殺菌効果と人体に対する安全性について科学的な裏付けが進み,市場でも波長222 nmを放射する除菌器具が登場し,今後様々な活用が期待されている。本稿では波長222 nmの光源とその安全性,一般に紫外線耐性が高いと言われる真菌に対して低照度の照射で顕著な成長抑制作用が現れたことを解説する。

Key words:
UV-C/222nm/KrClエキシマランプ/真菌/静菌.