日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.50,No.2 (2022)

表題:
微生物による劣化 −繊維,金属,木材,コンクリート,紙等−
[8]木材の微生物劣化とその対策
著者:
馬場庸介(住化エンバイロメンタルサイエンス(株))
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.50,No.2,pp.77−84(2022)

木材は物理的および機械的性質に優れ,加工性が良いことから広い範囲で使用されている。また,再生産可能な天然資源であり,他の材料と比較し製造・加工エネルギーが少なく,成長時に吸収した二酸化炭素を木材中に固定する炭素貯蔵効果を有する特長があり,二酸化炭素削減効果も期待される。このような特性から,木材の有効活用は持続可能な社会の実現において極めて重要である。しかし,木材は構成される有機高分子材料であり,使用環境で様々な要因により劣化が生じる。この中でも,表面汚染菌,辺材変色菌,木材腐朽菌などの微生物により生じる劣化を微生物劣化と呼ぶ。木材の微生物劣化の対策として,防カビ剤や木材防腐剤などの木材保存剤による保存処理が行われる。本稿では,微生物劣化に関わる微生物,およびその対策として防カビ剤,防腐剤などの木材保存剤およびその処理方法について解説する。

Key words:
Wood degradation(木材劣化)/Wood Decay(木材腐朽)/Microbial degradation(微生物劣化)/Wood preservation(木材保存)/Deterioration(劣化)/Soft-rot fungi(軟腐朽菌)/Brown-rot fungi(褐色腐朽菌)/White rot fungi(白色腐朽菌)/Sap-staining fungi(辺材変色菌).