日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.49,No.12 (2021)

表題:
食の安全・安心科学−食品製造現場・食品にかかわる微生物汚染とその対策−
[9]次亜塩素酸を基礎とする洗浄・殺菌の理論
著者:
福﨑智司(三重大学大学院生物資源学研究科)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.49,No.12,pp.619−625(2021)

次亜塩素酸(HOCl)は,1800年代の半ばから使用されてきた消毒剤であり,塩素消毒の活性因子として知られている。次亜塩素酸の代表的な工業製品の一つである次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)は,水で適度に希釈され弱アルカリ性の水溶液として使用されてきた。昨今では,希薄な食塩水や塩酸を電気分解して調製する次亜塩素酸水や電解次亜水,次亜塩素酸ナトリウムと塩酸または炭酸ガスを水道水に混合希釈して安全に調製される弱酸性次亜水が使用されている。また,従来の次亜塩素酸水溶液の使用対象は設備・機器・食材などの「モノ」であったが,最近では浮遊菌・落下菌,付着菌対策として「室内空間」を対象とする微生物制御に適用する技術が普及し始めている。本稿では,次亜塩素酸水溶液の洗浄および殺菌・不活化機序について解説した後,水溶液から揮発した気体状次亜塩素酸の殺菌効果ならびに超音波霧化噴霧の安全性と有効性について述べる。

Key words:
Hypochlorous acid(次亜塩素酸)/Cleaning and disinfection(洗浄・殺菌)/Ultrasonic fogging(超音波霧化)/Forced-air vaporizing(強制通風気化)/Safety and effectiveness(安全性と有効性).