日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.49,No.10 (2021)

表題:
持続社会での木材の長期使用
[7]木材・木造の生物劣化診断と維持管理
著者:
藤井義久(京都大学大学院農学研究科)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.49,No.10,pp.513−519(2021)

木造建築物の寿命を延ばす観点から,診断と補修からなる維持管理の技術について紹介した。腐朽の「見える化」として,木部表面に現れた症状から腐朽の範囲,程度や進行性を判定する診断の基本原理や注意点を解説し,さらに腐朽による強度低下や断面欠損の程度を非破壊的かつ定量的に評価する手法を解説した。非破壊診断技術については,超音波の伝搬速度(時間),電磁波の透過性やX線などを用いた手法,微小な破壊と伴うが,細い錐による穿孔時の抵抗を測定することで局所的な強度を評価する手法を紹介した。また腐朽を誘発する高含水率領域を検出する手法として誘電率や電気抵抗を利用した水分計(含水率計)や電磁波レーダを用いた手法を紹介した。また近年の木造の診断・インスペクションの背景,診断技術や人材育成の現状と課題を解説した。最後にITやIOTを活用した維持管理やAIを用いた診断技術の可能性についても触れた。

Key words:
Inspection(劣化診断)/NDT(非破壊検査)/Maintenance(維持管理).