日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.49,No.8 (2021)

表題:
紙上ミニシンポジウムⅢ 〜殺菌・抗菌・除菌分野の新たな進展〜
3.ホタテ貝殻焼成酸化カルシウム(BiSCaO)の殺菌・消毒剤としての有用性と安全性
著者:
福田孝一,秦 裕樹,比留間寿美代,安藤尚子,石原雅之,中村伸吾(防衛医科大学校・防衛医学研究センター・医療工学研究部門),高山智宏(防衛医科大学校病院・歯科口腔外科)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.49,No.8,pp.405−411(2021)

ホタテ貝殻焼成酸化カルシウムであるBiSCaO(Bio-Shell Calcium Oxide)を基にした懸濁液,分散液,コロイド分散液及びBiSCaO Waterの消臭剤及び消毒剤としての効果を既存の焼成カルシウム製剤と比較した。その中で,BiSCaO Waterは,ウイルス,菌,真菌に対して高い抗菌効果を持ち,エタノール,BiSCaOおよびCa(OH)2懸濁液,プロビドンヨウ素,NaClOと比較しても,高い消臭・殺菌効果を示した。BiSCaO Waterは,病原微生物に対して,特にCOVID-19対策としても,安全で優れた消毒活動に適用することができると期待される。BiSCaO懸濁液やBiSCaO含有軟膏は緑膿菌や緑膿菌感染創に対して,従来の消毒薬と同等以上の殺菌・抗菌活性を有すること,細胞毒性を抑えつつ細菌数を抑制することができ,創傷・感染創傷治癒を促進することが示唆された。本研究で開発したBiSCaO利用法は広域除染に有効であり,⽣物由来のマテリアルのため環境負荷の低いことが期待される。

Key words:
BiSCaO(貝殻焼成酸化カルシウム)/Scallop shells(ホタテ貝殻)/BiSCaO Water/Disinfectant(殺菌・消毒剤)/Wound Healing(創傷治癒).