日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.49,No.7 (2021)

表題:
新規な抗菌抗ウィルス剤を目的とする無機化合物ポリオキソメタレートの開発の現状
著者:
飯島 淳(東京農工大学大学院工学府)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.49,No.7,pp.317−321(2021)

我々人類が,現在の生活維持し,将来により便利な生活を営むためには,再興および新興感染症と上手に付き合わなければならない。そのために,従来の有機化合物だけでなく,幅広い化合物,物質を医療に応用することが必須である。その1つの候補として,ポリオキソメタレート(ポリ酸)と呼ばれる無機化合物を紹介する。ポリ酸は,合成・構造上の特性から,有機化合物にはない構造を生み出すことが可能であり,抗ウィルス,抗菌作用の医療への応用が期待されてきたが,現在その研究は国内外で足踏み状態である。そして既往の作用は,ポリ酸がキラルであってもラセミ体の作用で,キラルなエナンチオマーを単離することで,その作用は大きく向上する可能性がある。これまでの病原微生物と有機化合物医薬品との恒久的いたちごっこを解消すべく,キラルなポリ酸の無機医薬への応用が進んでいくことを望んでいる。

Key words:
Polyoxometalate(ポリオキソメタレート)/Chirality(キラリティ)/Anti-Viral Activity(抗ウィルス活性)/Anti-Bacterial Activity(抗菌活性)/Life Epidemic Prevention(生活防疫).