日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.49,No.5 (2021)

表題:
微生物による劣化 −繊維,金属,木材,コンクリート,紙等− [2]微生物による金属の劣化と対策
著者:
若井 暁(国立研究開発法人海洋研究開発機構・超先鋭研究開発部門)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.49,No.5,pp.235−241(2021)

微生物が金属を腐食する現象は古くから知られているが,未だに腐食性微生物の全容は明らかになっておらず,診断技術や防食技術も開発途上である。本稿では,微生物腐食の歴史や腐食性微生物の最新の情報を更新すると共に,今後の診断や防食技術開発の可能性について言及する。2000年以降様々な新規腐食性微生物が発見され,電気化学活性を持った微生物による直接的な腐食の研究が進んでいる。同時に遺伝子解析技術の発展に伴い,様々な腐食環境での微生物群集構造動態が明らかになりつつあり,腐食診断への遺伝子解析が導入され始めている。一方で,迅速で正確な診断技術の開発は未達であり,微生物腐食に特化した防食技術の開発も進んではおらず,腐食性微生物の情報に基づいた最適化された技術開発が今後は必要であるだろう。

Key words:
Corrosion(腐食)/Microorganism(微生物)/Genetic analysis(遺伝子解析).