日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.48,No.3 (2020)

表題:
損傷菌[11]
加熱損傷菌-カンピロバクター
著者:
小林弘司(福岡女子大学 国際文理学部 食・健康学科 食品安全科学研究室)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.48,No.3,pp.143−149(2020)

Campylobacter jejuniの制御法を確立する上で,加熱損傷菌体の性質を知ることは重要である。二重平板培養法による損傷評価の結果から,C. jejuniは加熱損傷により各種選択剤に対して感受性化するのではなく,活性酸素種消去能が低下すると考えられた。また,加熱損傷C. jejuniは食品中では,25℃,6時間保存後には損傷から回復した。一方,4℃では損傷から回復はしなかったが,二次損傷による菌数の減少も認められなかった。さらに,マウスを用いた実験により加熱損傷C. jejuniは感染能を失わないことも報告されている。これらの結果は,従来考えられていた以上に損傷菌を生み出さないための確実な加熱条件,仮に損傷菌が生じたとしても二次損傷により死滅させる条件の設定が重要であることを示している。

Key words:
Foodborne illness(食中毒)/Campylobacter jejuni(カンピロバクター ジェジュニ)/Heat injury(加熱損傷)/Oxidative stress(酸化ストレス).