日本防菌防黴学会

学会のご案内

関連情報

  • English

日本防菌防黴学会誌

Vol.48,No.1 (2020)

表題:
損傷菌[9]
人工透析における細菌汚染と損傷菌
著者:
大薗英一(越谷大袋クリニック,日本医科大学 微生物免疫),本田和美(越谷大袋クリニック)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.48,No.1,pp.27−31(2020)

血液透析を行っている病院や診療所では,透析液を大量に製造している。透析液の製造及び供給システムの微生物汚染の原因は,ヒトの手による配管部位の開放系作業時や施設納入前の透析機器の組立作業時などの汚染を起源としたバイオフィルムによるものとみられる。このため初期洗浄による汚染の低減が最も重要で,その後の維持には清潔操作と透析と透析の間の洗浄消毒が必須となる。培養法による検出では,洗浄消毒によりいったん菌は検出されなくなるが数時間~数日で同一菌種・株の菌が再度分離されるようになる。この間,DNA蛍光染色では菌数の変化が観られない。バイオフィルム内の菌叢は完全には殺滅されず,一過性の培養不能な損傷を誘導したことにとどまっている可能性が示唆された。

Key words:
Biofilms(バイオフィルム)/Hand hygiene(手の衛生)/Rapid measurement(迅速計測)/Fluorescent staining(蛍光染色法).