日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.48,No.1 (2020)

表題:
物理的微生物制御技術の今とこれから[10]
固着による拡散防止技術を用いたウイルス汚染の制御
著者:
中山鶴雄((株)NBCメッシュテック)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.48,No.1,pp.17−25(2020)

ウイルスを固着して不活化する制御技術は,ウイルスが拡散して感染症が拡大するリスク低減を目的に,一価銅化合物のナノ粒子と疎水性モノマーで修飾した無機ナノ粒子を複合化することで開発され,防護服やマスクなどに展開された。この技術を応用した防護服やマスクはウイルスを短時間で固着し,エンベロープの有無に関わらず,感染価が106以上のインフルエンザウイルスやネコカリシウイルスを60分間で検出限界以下まで減少させ,細菌に対しても高い不活化効果を示した。また,ウイルスや細菌の不活化メカニズムはヒドロキシラジカルが関与することが明らかになった。さらに,一価銅化合物のナノ粒子は塗料やアルコール製剤に応用された。これら開発品は付着したウイルスを3分以内に99.99%不活化した。また,一価銅化合物ナノ粒子を含む塗膜を被覆したPE製不織布は人工唾液や血液汚れが存在しても抗ウイルス・抗菌性などの消毒効果が維持されることが確認された。

Key words:
Virus pollution(ウイルス汚染)/Control(制御)/Fixation(固着)/Inactivation(不活化)/Monovalent copper compound(一価銅化合物)/Hydroxyl radical(ヒドロキシラジカル).