日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.47,No.3 (2019)

表題:
環境水からのレジオネラ・宿主アメーバ検出とその制御[9]
浴槽のレジオネラ対策② 各種消毒方法の効果
著者:
杉山寛治((株)マルマ 研究開発部)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.47,No.3,pp.117−123(2019)

循環式の浴槽水を確実に消毒するためには,残留性のある薬剤の使用が必須で,局所・一過性の殺菌では,殺菌効果が及ばない箇所でのレジオネラ属菌の増殖が起き,十分な消毒効果が得られなかった。また,夜間消毒を停止して消毒濃度が維持できないと,ろ過器内にレジオネラ属菌のバイオフィルムが形成された。これらは,浴槽水の消毒濃度が,常時,適切に維持される必要性を示す。
配管洗浄の比較では,ヘアキャッチャー網の殺菌が不十分な薬剤があり,配管接合部のEPDMゴムパッキンに形成されたバイオフィルム中のレジオネラ属菌の殺菌は,どの薬剤でも困難であった。ヘアキャッチャー網は毎日の洗浄と消毒が効果的であり,パッキンは確実な殺菌・洗浄が期待できるテフロン仕様パッキンへの交換が薦められる。
ろ過器内を高濃度塩素で逆洗浄する方法を毎日繰り返すことで,ろ過器内をレジオネラ・フリーに維持できた。浴槽水への遊離塩素注入との併用で,二重の安全策になろう。

Key words:
Circulating bathing water(循環式浴槽水)/Disinfection(消毒)/Pipe washing(配管洗浄)/Filter refreshment method(フィルター・リフレッシュ法)/Packing(パッキン).