日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.47,No.1 (2019)

表題:
医療・食品・環境分野で注目される抗菌技術
9.高分子ナノドラッグキャリアを用いたバイオフィルム形成菌への抗菌剤送達
著者:
山本浩充(愛知学院大学 薬学部)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.47,No.1,pp.37−42(2019)

環境中に生存している微生物の多くは,固体表面上にバイオフィルムを形成し,抗菌剤に対する抵抗力を獲得する。本稿では,バイオフィルムの構造的特徴を紹介すると共に,キトサンで修飾したポリ乳酸グリコール酸(PLGA)ナノ粒子とSolpulsⓇからなる高分子ナノミセルに抗菌剤を封入したドラッグデリバリーシステムの構築事例について解説する。事例では,キトサン修飾PLGAナノ粒子やナノミセルをバイオフィルム形成菌に対して投与したところ,ナノ製剤がバイオフィルムの多糖類層を退縮させることが確認されるとともに,露出した細菌表面にナノ粒子が吸着することで効果的に抗菌剤をバイオフィルム形成菌に送達し,抗菌作用を発揮させること明らかになった。

Key words:
Drug delivery system/Polymeric nanoparticle/Chitosan/Biofilm.