日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.46,No.12 (2018)

表題:
医療・食品・環境分野で注目される抗菌技術
8.乳酸菌バクテリオシン
著者:
山城圭輔(九州大学大学院生物資源環境科学府生命機能科学専攻),善藤威史(九州大学大学院農学研究院生命機能科学部門)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.46,No.12,pp.569−574(2018)

乳酸菌が生産するバクテリオシンは,従来の抗菌物質にはない多くの優れた特性を有することから,天然の安全な抗菌物質としての応用が期待されている。これまでに様々な乳酸菌バクテリオシンが見出され,その構造と特性の多様性,さらにはその生合成機構や作用機構が明らかとなってきた。現在,食品保存料として実用化されている唯一の乳酸菌バクテリオシンであるナイシンAに関しては,その詳細が明らかにされ,効果的な利用を図る上で重要な知見が得られている。また,その安全性を活かし,ナイシンAは食品保存以外にも,口腔ケア製品や手指用殺菌洗浄剤,牛乳房炎予防剤・治療剤への応用が図られている。さらに広範な利用には安定性や抗菌スペクトルなどに課題が残されており,継続使用による弊害を避けるためにも,今後は,より効果的な利用技術の確立のみならず,有用な性質をもつ新奇乳酸菌バクテリオシンの発見と利用が望まれる。

Key words:
Lactic acid bacteria(乳酸菌)/Bacteriocin(バクテリオシン)/Nisin(ナイシン)/Biopreservation(バイオプリザベーション).