日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.46,No.11 (2018)

表題:
中温メタン発酵のメタン生成効率が,Salmonella entericaの菌濃度に与える影響(原著論文)
著者:
中村嘉孝(鹿児島大学大学院連合農学研究科),甲山航平,石橋松二郎,紙谷喜則,鶴丸博人(鹿児島大学大学院農学研究科)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.46,No.11,pp.489−496(2018)

家畜排せつ物や生ごみなどの廃棄物を処理する方法として,メタン発酵法が知られている。発酵過程で出る発酵熱やメタンガスなどが回収され,エネルギーとして利用できるため,国内外で実用化されている。また,発酵後に排出されるメタン発酵消化液は,無機態及び有機態のN,P,Kなどの肥料成分を含んでいるため,近年価格が高騰する化学肥料の代替としての有効利用が期待されている。しかし,豚糞などの排せつ物由来であるメタン発酵消化液に混入した病原性細菌による食中毒被害も懸念されている。本研究では,メタン発酵施設維持が容易な中温処理を用いて,病原性細菌(Salmonella enterica)の菌濃度変化を調査し,メタン生成量がSalmonella entericaの菌濃度の減少と正の相関を持つことを示した。本研究結果は,安定化前の中温メタン発酵施設を安全に維持運営することに役立つだろう。

Key words:
Salmonella enterica(サルモネラ エンテリカ)/Methane production efficiency(メタン生成効率)/Methanogen(メタン菌)/Mesophilic methane fermentation(中温メタン発酵).