日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.46,No.8 (2018)

表題:
環境水からのレジオネラ・宿主アメーバ検出とその制御[3]
レジオネラ症の国内外の動向
著者:
倉 文明(国立感染症研究所 バイオセーフティ管理室)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.46,No.8,pp.365−376(2018)

レジオネラ症は重篤な肺炎を主症状とする感染症で罹患率は増加傾向にある。この原因として,施設環境の老朽化による環境中のレジオネラ属菌の増殖の他に,検査法の進歩や医師の関心の高まりにより報告数が増加している背景がある。欧米では冷却塔や給水/給湯系が主たる感染源であるが,日本では入浴施設が主たる感染源である。この違いは生活様式の違いの他に,環境中の菌種・遺伝子型の日本と欧米の間における分布の違いによる可能性がある。また,諸外国に比べ日本の患者の平均年齢,男性患者の比率が高い。近年,空気中の菌数を測定する技術が進歩し,感染様式を詳しく調査可能になってきた。環境水を濃縮せず液体培養により菌を検出する方法も提言されている。レジオネラ対策には,施設スタッフの研修と環境水の温度管理が基本である。レジオネラ属菌が増殖する温度環境ではエアロゾル防止,消毒が必須である。

Key words:
レジオネラ症/集団感染事例/感染源/発生動向調査/ガイドライン.