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日本防菌防黴学会誌

Vol.46,No.7 (2018)

表題:
新興・再興感染症[8]
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
著者:
西條政幸(国立感染症研究所ウイルス第一部)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.46,No.7,pp.303−307(2018)

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は新規ブニヤウイルスによる感染症として,2011年に中国の研究者らにより報告された。それによると,SFTSは中国の河南省,湖北省,山東省,黒竜江省等の山岳地帯の住民の間で認められ,ダニ(フタトゲチマダニ)が媒介し,発熱,消化器症状が出現し,さらに末梢血液検査で白血球減少と血小板減少が認められる,などの特徴を有する疾患であった。2013年1月には,日本で始めてSFTS患者が確認され,ほぼ同時期に韓国でもSFTS患者が報告された。現在,SFTSは日本,韓国,中国で流行していることが確認されている。病原体はブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類されるSFTSウイルス(SFTSV)である。SFTSの患者が確認されてから約4年半が経過した。日本における疫学や病態などの臨床的特徴が明らかにされつつある。動物感染モデルを用いた研究でファビピラビルがSFTSに対する特異的治療薬として有効である可能性が示唆される研究成果が発表された。また,ワクチン開発も期待される。SFTSVはマダニおよび動物の間で維持され,存在し続ける。このことはSFTS流行がこれからも続くことを示している。

Key words:
Severe fever with thrombocytopenia syndrome(重症熱性血小板減少症候群)/SFTS/Tick-borne virus infections(マダニ媒介性ウイルス感染症)/Hemophagocytosis(血球貪食症候群)/Bunyavirus(ブニヤウイルス).