日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.46,No.4 (2018)

表題:
口腔咽喉薬の咽頭感染ウイルスに対する不活化効果と細胞毒性(原著論文)
著者:
岡本浩明,野崎 学,金本寛和,五味満裕,矢野博子(小林製薬(株))
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.46,No.4,pp.143−148(2018)

市販の口腔咽喉薬に含まれる成分のヨウ素,ポビドンヨード,セチルピリジニウム塩化物水和物,アズレンスルホン酸ナトリウム及びエタノールについて,3種のインフルエンザウイルスに対する不活化効果と,細胞毒性試験により安全性を評価した。また,これら成分を含む市販の口腔咽喉薬について,咽頭から感染するウイルス(インフルエンザ,コロナ,RS,アデノ,ライノウイルス)に対する不活化効果と,細胞毒性を評価した。成分の評価では,ヨウ素はポビドンヨードと比較し,低濃度でウイルス不活化効果が認められた一方,細胞毒性が確認された。市販の口腔咽喉薬の評価では,ヨウ素を含むものは幅広いウイルスに対して不活化効果が認められ,細胞毒性は成分の評価と比較して低減され非刺激物であった。これらの結果から,ヨウ素を含む市販の口腔咽喉薬は,有効性と安全性に優れ,ウイルス性感染症に特に有用であることが示唆された。

Key words:
Oropharyngeal medicine(口腔咽喉薬)/Iodine(ヨウ素)/Virus inactivation(ウイルス不活化)/Cytotoxicity(細胞毒性).