日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.45,No.2 (2017)

表題:
食品工場における食品防御(フードディフェンス)の考え方と業界動向[5] 食品製造現場目線での食品防御−従業員に教育すべき事項
著者:
酒徳泰行((株)知識経営研究所)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.45,No.2,pp.91−96(2017)

近年発生した冷凍食品への農薬混入事件以降,食品企業にとって食品防御対策は必須の課題になっているが,その活動が従業員に十分周知されて運用している組織は必ずしも多いとは言えない。食品防御対策は管理側だけの努力では難しく,効果的な運用のためには従業員の協力は不可欠である。
従業員に認識させ行動させていくためには,まず食品防御活動に取り組む目的を明確にし,その背景を伝えることである。さらに方針や具体的目標を掲げ,構築した管理策を従業員に浸透させていく訳であるが,大切なのは「なぜ実施しなければならないのか」の理由を明確に伝えることである。食品防御対策の多くは従業員にとって「面倒なこと」であるため,ここを怠ると形式的な活動になってしまう可能性がある。
また,対策を講じる際には「性弱説」の考え方を取り入れるのも重要となる。従業員を疑うのではなく,人の弱さを認めた上での対策は,結果的に労使間の信頼関係を築くことができる。食品防御対策において最も重要なのは,信頼し合える環境作りであり,今後の食品企業の経営に期待したいテーマといえる。

Key words:
従業員教育/性弱説.