「食品工場における食品防御(フードディフェンス)の考え方と業界動向」(全10回)の第1回として,自社(自工場)に適合した食品防御チェックリスト作成の有用性について紹介した。毒物・異物等の意図的混入リスクに影響する要因としては,食品工場の自動化・従業員数・正規社員割合,製造工程中の製品露出度等が挙げられる。今後は工場従業員が内部で混入させる危険性についても念頭に置く必要があり,そのためには食品関連事業者内での労務管理が大きな鍵になる。ネット上で公開されている「食品防御対策ガイドライン(食品製造工場向け)-意図的な食品汚染防御のための推奨事項-(平成25年度改訂版)」は,食品メーカーにとっては利用しやすいものである。このガイドラインは,すべての食品製造工場に適用できるように工夫し作成されているため,具体的な表現を使用できない項目があるが,このような部分に自社(自工場)の実情に合った表現を取り入れ,項目を適宜追加し,より精度の高い食品防御チェックリストを自社用にカスタマイズすることは大いに有効である。