日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.44,No.6 (2016)

表題:
市販の付加価値性能装置付き空気清浄機の問題点
-製品が謳うウイルス不活化ならびに殺菌力等について
著者:
西村秀一((独)国立病院機構仙台医療センター 臨床研究部 ウイルスセンター)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.44,No.6,pp.293−300(2016)

プラズマクラスターイオン,ナノイー粒子はじめとする空中への特殊な物質の放出によりウイルス不活化や殺菌効果を謳う電気製品の有効性について中立的,第三者的に検証した。その結果,それらは生活空間レベルで空中浮遊インフルエンザウイルスを不活化することなく,またガラス板上の4種の細菌,腸球菌,緑膿菌,セレウス菌,黄色ブドウ球菌すべてに対し殺菌作用はなかった。だが,寒天表面上の腸球菌に対しては,0.2m3の狭い密閉空間で,殺菌性を示した。その現象を詳細に調べた結果,その作用の本体は,それらの製品が放出するとされる特殊物質ではなく,副次的に産生されているオゾンである可能性が強く示された。それらを除去しても殺菌性の低下はなく,一方で,オゾンを取り除いたとき殺菌性の低下が認められたのである。

Key words:
Plasmacluster(プラズマクラスター)/Nano-e(ナノイー)/“Minus”-ion(“マイナス”イオン)/Influenza virus inactivation(インフルエンザウイルス不活化)/Bactericidal effect(細菌作用)/Ozone(オゾン).