日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.44,No.3 (2016)

表題:
活性酸素による微生物制御
著者:
庭野吉己(東北大学大学院歯学研究科 生体適合性計測工学講座)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.44,No.3,pp.119−124(2016)

活性酸素(Reactive Oxygen Species,ROS)は,酸素分子がより反応性の高い化合物に変化したものの総称であり,狭義にはヒドロキシルラジカル(•OH),スーパーオキシドアニオンラジカル(O2-•),過酸化水素(H2O2),一重項酸素(1O2)の4種を指し,広義には一酸化窒素 (NO),ペルオキシナイトライト(ONOO)などの活性分子種も含む。ここでは狭義の活性酸素種(ROS)に限定して述べる。ROSは,酸素分子(三重項酸素,O2)が順に一電子還元されることによってO2•→•OH→H2O2の順に生成する。1O2は,O2が有する一つの不対電子のスピンの方向が逆転しπ2pxに2つの電子が入った状態であり,電子を失ったπ2py軌道が電子を強く求めるため強力な酸化力を発揮する。生成系としては,光感受性物質が特定波長の光照射により励起され,励起状態の光感受性物質から基底状態のO2へエネルギーが遷移することで1O2が生成されることが知られている。本総説では,ROS生成系の殺菌技術への応用を中心にROSによる微生物制御研究の最近の研究動向を紹介する。

Key words:
ROS(活性酸素)/抗生物質/光触媒,/AOP(促進酸化法)/PACT(光線力学殺菌療法)/ポリフェノール. 解説内容大意