日本防菌防黴学会

学会のご案内

関連情報

  • English

日本防菌防黴学会誌

Vol.44,No.2 (2016)

表題:
アジア・アフリカの感染症動向 Ⅲ.インドおよびバングラデシュでの下痢症研究
著者:
篠田純男(岡山大学インド感染症共同研究センター),Asish K. Mukhopadhyay(National Institute of Cholera and Enteric Disease, India),Munirul Alumn(International Center for Diarrhoeal Diseases Research, Bangladesh)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.44,No.2,pp.61−68(2016)

インド亜大陸の中でも,東部ベンガル地帯は,古くからコレラなどの下痢症の多発地帯とされている。コレラの世界的流行パンデミーは1817年の第1次から,現在の第7次まで繰り返されており,ベンガル地帯が起源とされているが,第7次はインドネシアから始まり,ベンガル地帯に至って,さらに輪を広げたと考えられている。もちろん,第1次より以前にも大流行に至らないまでも世界各地でコレラは発生しており,特にインドでは古くから土着していたと思われる。
第1次から第6次までのコレラは,Vibrio cholerae O1 classical型によるものであったが,第7次ではVibrio cholerae O1 El Tor型に変わっており,さらに1990年代には,一時抗原型がO139による流行が起こったことがあった。さらに,近年はEl Tor型ではあるが,classical型の毒素遺伝子の一部を保有するEl Tor Variant型,あるいはHaitian Variant型への変化が生じており,遺伝子型の変化によってコレラの流行が拡大する危険性もあると考えられる。
このようなコレラを中心にした下痢症の話題について,バングラデシュを含めたベンガル地帯を中心に記載している。

Key words:
コレラ/Vibrio cholerae O1/Vibrio cholerae O139/Vibrio cholerae El Tor/Vibrio cholerae classical/El TorVariant/El Tor Haitian Variant.