Vol.43，No.8 (2015)

表題：

微生物試験迅速法におけるバリデーションの課題

著者：

松岡英明，斉藤美佳子（東京農工大学）

掲載：

日本防菌防黴学会誌，Vol.43，No.8，pp.361−367（2015）

微生物試験法で公定法とされているものは全て培養法に基づくものである。しかし結果を得るまでに何日もかかることが稀ではない。そのため，実用的には数時間以内，遅くても1日以内に結果が得られる迅速法に対する要請は極めて強い。それに応えるべく，今日までに種々の迅速法が提案，試作，開発，そしてバリデーションがなされてきた。しかし，開発者の絶大な努力にもかかわらず，その要請に十分こたえるまでには至っていない。肝心の最終段階のバリデーションが合理的に行えているとは言い難い。生菌の標準物質が無かったことが主因の一つである。そうした迅速法のバリデーションに関する最近のAOAC及びISOの動向，そして生菌標準物質開発の取り組み，参照法に基づく迅速法，などついて概説し，併せて将来に向けた対策と展望について提言する。

Key words：

Validation（妥当性確認）/Rapid methods（迅速法）/Microbiological methods（微生物試験）/AOAC（AOAC）/ISO16140（ISO16140）．