日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.43,No.5 (2015)

表題:
芽胞細菌の種類と殺滅条件
著者:
渡部一仁(摂南大学)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.43,No.5,pp.233−238(2015)

バシラス属やクロストリジウム属などの細菌が形成する芽胞は極めて高い物理的・化学的抵抗性を示すのでその殺滅は困難である。食品衛生上問題となる菌種として,Alicyclobacillus,Aneurinibacillus,Bacillus,Brevibacillus,Geobacillus,Paenibacillus,Clostridium,Moorella,Thermoanaerobacter,Thermoanaerobacteriumなどがある。芽胞の殺滅には通常の滅菌や消毒法では無効な場合が多い。芽胞対策として,予め芽胞を加熱して損傷して薬剤の透過性を増大させ,共存する薬剤による細胞膜傷害作用やタンパク質変性作用,加熱中に芽胞に取り込まれた薬剤による傷害作用や発芽後生育の阻害作用などが応用されている。薬剤として,酢酸,アジピン酸,乳酸,ソルビン酸,グリシン,ナイシン,ポリリジンなどが利用されている。薬剤と物理的処理の組み合わせとして,グリシンと酢酸Naやヘキサメタリン酸,グリセリン脂肪酸エステル,リゾチームなどとの併用が報告されている。その他,静菌性乳化剤のショ糖脂肪酸エステルの添加や紫外線と過酸化水素や加熱の併用例が報告されている。

Key words:
芽胞細菌/種類/殺滅条件.