日本防菌防黴学会

学会のご案内

関連情報

  • English

日本防菌防黴学会誌

Vol.43,No.2 (2015)

表題:
医療関連感染と制御[8] 医療現場における感染制御 1)人に求められる制御 (3)職業感染の制御
著者:
萱場広之(弘前大学医学部大学院医学研究科 臨床検査医学講座)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.43,No.2,pp.87−94(2015)

感染制御は,病院関連感染から患者を守ることを目的としている。そして,患者と同様に,あらゆる医療従事者も医療関連感染から守るよう配慮されねばならない。感染制御は一部の専門家が行う物ではなく,その施設,あるいは地域医療圏における全ての医療従事者が関心を持ち,理解し,実践する必要がある。患者や医療従事者にとって安全な療養環境と職場を実現すること,そこにどれだけの価値を置き,資源の投資を行うのか。各施設及び地域医療圏の感染制御文化のレベルに負うところが大きい。感染性疾患に対する職員のワクチンプログラムの遂行,針刺し危険低減のための安全器材導入,操作性が良く堅固な鋭利器材廃棄ボックス,良質な個人防護具の供給などはいずれも費用を要する。しかし,長期的視野に立てば職業感染の防止は医療経済上も不利益にはならないと考えられている。本稿では,職業感染防止対策の実際に触れながら,その概要を記載した。

Key words:
Occupational infection(職業感染)/Needlestick injury(針刺し)/Mucosal exposure(粘膜曝露)/Safety devices(安全器材)/EPINet(エピネット).