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日本防菌防黴学会誌

Vol.43,No.2 (2015)

表題:
木材劣化の現状とその対策[9] 現場処理に用いられる薬剤の推移
著者:
小林智紀(三和インセクティサイド(株))
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.43,No.2,pp.75−79(2015)

木材の保存処理には大きく工場処理と現場処理がある。工場処理は耐圧性のシリンダーを用いた加圧注入処理や薬剤浸漬槽を用いた浸漬処理が主流である。特に加圧注入処理ではたくさんの薬剤を木材中に圧入することで長時間に亘り効果を持続できるという利点があるが,大掛かりの装置を必要とする。一方,現場処理は建築現場にて工事の進行状況を見ながら手軽に処理できるという利点の反面,薬剤処理用が少ないことから定期的な繰り返し処理が必要となってくる。現場処理に使用される薬剤は,当初油剤は主流であった。しかしながら,臭気の問題,揮発性有機溶媒による化学物質過敏症問題あるいは火災問題などから,低臭化や乳化型薬剤へと転換していった。現在では薬剤のほとんどが乳剤となっている。また,こうした剤型の変化のなかで,施工現場の状況に合せて増粘型の薬剤や泡状薬剤なども開発され,使用された。

Key words:
工場処理/現場処理/加圧注入処理/浸漬法/有機ヨウ素系化合物/トリアゾール系化合物/木部処理剤/油剤/乳剤.