医原性CJD (iatrogenic Creutzfeldt-Jakob disease)はプリオン汚染した電極,ホルモン,角膜や硬膜の移植で発生している。我が国の硬膜移植による薬害ヤコブ発生数は世界の半数以上にものぼる。プリオンは除去や不活化が難しいため,プリオン汚染は医療器具の再利用をする際のリスクとなる。特に,プリオンに感染している可能性の高い患者を脳外科開頭手術,整形外科脊髄手術,眼科手術をする際は,プリオンを不活化できることが科学的に証明されている方法で医療器具の処理を行う必要がある。この際,プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班が作成した「プリオン病感染予防ガイドライン2008年度版」が参考になる。本解説では,プリオンとプリオン病に関する一般知識ととともに,プリオン不活化方法について述べる。