日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.42,No.9 (2014)

表題:
感染症の現状と展望[10] 透析患者と感染症
著者:
佐藤正広(帝京大学福岡医療技術学部)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.42,No.9,pp.483-488(2014)

感染症は透析患者における死亡原因の第2位である。これは透析患者特有の免疫能低下や栄養障害による易感染性と外的要因が絡んだ結果であると考えられている。すなわち,透析患者の栄養障害を改善させ,感染源とされる曝露要因を限りなく抑制することが死亡率を低下させることに繋がる。透析患者の平均余命は一般人口平均余命の「概ね半分」であり,透析患者の三大死亡原因である感染症を減らすことが,平均余命を改善させるための重要な要因となる。
具体的には透析患者の適切な栄養管理のもとに,患者を取り巻く環境における感染経路の遮断,潜在的な慢性炎症状態からの脱却,質の高い透析治療を施行するための透析液清浄化が必要となる。
また,透析医療に関連する感染症は,患者のみならず従事する職員にも大きく関係することであり,感染症対策や感染制御は施設全体の課題である。

Key words:
透析患者/死亡原因/易感染性/感染症対策.