日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.42,No.8 (2014)

表題:
木材劣化の現状とその対策[2] 木材の腐朽が住宅の耐震性に及ぼす影響
著者:
小林智紀(三和インセクティサイド(株))
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.42,No.8,pp.445-450(2014)

2011年3月の東北地方太平洋沖地震から3年を経過したが,未だ完全復興には至っていない。我々は過去に兵庫県南部地震,鳥取県西部地震などの大地震を経験したが,その際に相当数の住宅が被害を受けた記憶を持つ。兵庫県南部地震においては失火による火災の被害も大きく,たくさんの人命を失うことになった。被災した地域では木造住宅が多く倒壊したことから,各方面の研究機関が現地入りし,その原因究明を行った。その結果,倒壊家屋の多くに腐朽,シロアリによる食害あるいはその両者が見つかったことから,住宅に使用されている木材の生物劣化が倒壊に大きく関係したものと考えられた。特に住宅の材料に使用される針葉樹に発生する褐色腐朽では,腐朽の初期段階でも著しく木材の物理的強度を低下させることが知られている。こうした地震による家屋倒壊を防ぐためには,生物劣化をより早く発見し対策を講じることが重要である。そのためには,定期的な住宅の点検,維持管理が必要である。

Key words:
兵庫県南部地震/鳥取県西部地震/生物劣化/褐色腐朽/点検・維持管理.